声優は何をする仕事?「アニメの声」から、演じ方と届け方まで考える
声優はアニメのキャラクターに声を当てるだけの仕事ではありません。何を演じ、どのように届けるのかを分けて見ると、その仕事の広がりが見えてきます。
声優は、アニメのキャラクターに声を当てる人――。そのイメージは入口としては分かりやすい一方、仕事の違いまでは説明しきれません。厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」は、アニメやゲームのキャラクター、外国映画・海外ドラマの吹き替え、ナレーションなどを声優の仕事として挙げています。日本俳優連合も、外画の吹き替え、アニメーションのアフレコ、ドキュメンタリーなどのナレーションを、声の出演に関わる領域として説明しています。
声優の仕事は「何をどう演じるか」で分かれる
同じ声の出演でも、現場で求められることは一つではありません。job tagの説明では、アニメでは台本や原作をもとに役柄を研究し、収録時に監督や音響監督と声のイメージを調整します。吹き替えでは映像に日本語のせりふを合わせ、ナレーションでは原稿の内容を理解して読む力が必要になります。
この違いから、声優の仕事は次のように捉えると分かりやすくなります。
- キャラクターの人物像や感情を演じる
- 映像に登場する人物の演技に、日本語の声を重ねる
- 原稿の内容を、聞き手に伝わる声で届ける
「声優になりたい」と考えたとき、作品ジャンルだけを見ていると、この三つの違いを見落としやすくなります。アニメが好きという関心を、キャラクターを演じたいのか、映像に合わせたいのか、情報を伝えたいのかへ分けてみると、調べるべき仕事や学び方も整理しやすくなります。
資格がないことは、準備がいらないという意味ではない
job tagは、声優になるために必須の学歴や資格はないと説明しています。一方で、一般的な経路として、専門学校や養成所、養成講座などで学び、オーディションを経てプロダクションや芸能事務所への所属を目指す方法も紹介しています。
ここから分かるのは、声優が「資格を取れば就ける」仕事ではないということです。学ぶ場所に入ることと、作品への出演が決まることは同じ段階ではありません。出演機会は、所属時や作品ごとのオーディションなどを通じて得られるものとして説明されています。
そのため、養成所や学校を調べる前に、どの表現を身につけたいのかを決めておく意味があります。声の高さや印象だけで選ぶのではなく、役を演じる、映像に合わせる、内容を伝えるという違いから、自分が知りたい仕事を絞る方が判断しやすくなります。
声の仕事は、収録後の「届け方」まで考えると見え方が変わる
日本俳優連合は、声優を俳優の一分野として扱い、声の出演条件や作品の二次利用に関わる活動を行っています。さらに文化庁の「著作隣接権」では、実演家に関わる権利として、録音・録画、放送・有線放送、送信可能化などが整理されています。
ここで大切なのは、法律用語を覚えることだけではありません。同じ声の演技でも、作品に固定すること、放送すること、インターネットで利用できる状態にすることは、別の届け方だと分かります。
声優の仕事を調べるときは、「どの作品に出演したか」だけでなく、その声が何を演じ、どのような形で視聴者に届くのかを見ると、仕事の広がりと条件を混同しにくくなります。
声優を知るために置いておきたい二つの質問
声優という言葉を調べるときは、次の二つを先に考えると、情報を自分の判断につなげやすくなります。
- その声は、キャラクター、映像の人物、原稿の内容のどれを演じたり伝えたりするのか。
- その声は、収録、放送、インターネットでの利用など、どの形で届くのか。
公式資料が示しているのは、声優が一つの決まった役割ではなく、声による演技と伝達が複数の現場に現れる仕事だということです。「アニメの声」という入口から、演技の目的と届け方まで視野を広げると、声優という仕事をより具体的に考えられます。