なぜ『利用規約に同意したい』は「とんでもなくイライラする」のか
『利用規約に同意したい』の理不尽さは、目的が単純なのに操作だけが複雑になる構造にある。
2025年12月4日にSteamで発売された『利用規約に同意したい』は、ゲームを始める前の「同意」を高難度アクションに置き換えた作品だ。Steamの商品ページは、反射神経やパズル力を試す100種類以上のギミックを特徴として紹介している。
「同意する」だけのはずが、なぜ12項目もあるのか
公式サイトによれば、このゲームのドキドキアクションゲームを遊ぶには、利用規約の全12項目に同意する必要がある。つまり、同意ボタンを一度押せば終わるのではなく、同じ形式の目的を12回くぐり抜ける構造だ。
ここで重要なのは、目的そのものは最後まで明快なことだ。プレイヤーが目指すのは「同意」。しかし、そのための操作は画面ごとに変わりうる。この目的と手段の落差が、単なるパズルよりも強い違和感を生む。
イライラの正体は、操作方法が見えないこと
公式サイトは、同意画面について、自動操作対策として操作方法が分かりにくい仕掛けを含む場合があると案内している。Steamの商品ページも、本作を高難易度アクションとして説明している。
この二つを組み合わせると、理不尽さの正体が見えてくる。普通の同意画面なら、文面を確認してボタンを探し、クリックする。しかし本作では、その慣れた手順自体が通用しない可能性がある。目的は見えているのに、次に何をすべきかだけが見えない。だから失敗は、難しい敵に負ける感覚よりも、画面にこちらの常識を拒まれる感覚に近くなる。
多数のギミックが「一発ネタ」で終わらせない
Steamの商品ページが掲げる100種類以上のギミックは、同意という一つの操作に、アクションとパズルの幅を持たせる要素だ。12項目すべてへの同意が必要なため、一つの画面で通用した考え方を、そのまま次へ持ち越せるとは限らない。
この設計から分かるのは、本作の面白さが「隠れたボタンを見つけること」だけではないということだ。単純な目的を保ったまま、プレイヤーの前提だけを入れ替え続ける。その反復が、失敗するたびに「今度は何を疑えばいいのか」と考えさせる。
規約は本物ではないから、緊張の中心は画面にある
Steamの商品ページは、ゲーム内の利用規約がフィクションであり、実際の法的効力を持たないと説明している。ここを知っておけば、表示される文章を実際の契約手続きとして受け取る必要はない。
本作で試されているのは、規約を正しく受諾する能力ではなく、「同意」という日常的な操作への思い込みだ。規約はゲームの入口をもっとも身近な形に見せるための外装であり、プレイヤーが向き合うのは、その外装を使った操作のすり替えである。
遊ぶ前に見るべきは、難易度より相性
この作品に向いているかを考えるなら、「簡単に同意できるか」ではなく、次の構造を楽しめるかで判断すると分かりやすい。
- 目的は単純なまま、操作だけがパズルやアクションに変わる
- 画面の見た目から操作方法をすぐ判断できない場合がある
- 同意という同じ目標を、12項目ぶん別の問題として解く
高難度の仕掛けに挑むこと自体が負担なら、Steamの商品ページに記載されたカジュアルモードも確認材料になる。ただし、今回確認できた公式情報だけでは、そのモードの具体的な変更内容までは断定できない。
『利用規約に同意したい』が「とんでもなくイライラする」と感じられる理由は、目標が分からないからではない。目標があまりにも分かりやすいのに、そこへ至る操作だけを意図的に分からなくしているからだ。日常の同意画面を、予測を裏切るゲームへ変える。その一点に、本作の理不尽さと独自性が集約されている。