学校の「職員」は誰を数える?令和8年度の統計で教員と委託の境界を読む
「職員」は、学校にいる人を一括した呼び名とは限りません。令和8年度の学校基本調査をもとに、誰を数えた数字なのかを確認します。
「職員数」と書かれていると、学校で働く人をすべて足した人数のように見えます。ところが、文部科学省の令和8年度学校基本調査では、小学校・中学校の「職員数(本務者のみ)」を、一定の条件に沿って集計しています。
結論からいえば、ここでの「職員」は、学校にいる人を物理的に数えた呼び名ではありません。教員として発令されているか、学校に所属して給与の支給を受けているか、本務者として扱うかといった調査上の区分が関係します。
「職員」の意味は、調査名とセットで読む
この記事で扱うのは、令和8年度学校基本調査の手引にある小学校・中学校の職員数です。「職員」という語だけを取り出して、学校内の別の案内文や組織上の呼び方にも同じ範囲を当てはめることはできません。
e-Statの「その他の職員数」の定義は、職員数を「事業所に所属し、給与の支給を受けている職員の数」としています。つまり、人数を見るときは、まず「誰がその組織に所属している扱いなのか」を確認する必要があります。
教員かどうかは、授業の印象だけで決まらない
e-Statの教員数の定義は、教員数を「教員として発令されている者の数」としています。学校の長、教諭、講師などが例として挙げられており、「その日に授業を担当していた人」だけを数える定義ではありません。
一方、手引の職員区分には、事務職員、学校図書館事務員、養護職員、学校栄養職員、学校給食調理従事員、用務員、警備員・その他などが並びます。
ここから分かるのは、教員と職員の境目を、仕事内容の印象だけで判断しないほうがよいということです。統計では、職名や発令、所属の扱いが先にあります。
校内で働いていても、職員数に入るとは限らない
令和8年度の手引は、学校が直接雇用しない委託契約企業から派遣されている者などについて、職員数として回答しないとしています。
この条件は、「学校で仕事をしている人の総数」と「統計上の職員数」が同じではないことを示します。委託先の企業に所属する人が学校で業務を担っていても、その人がこの職員数に表れるとは限りません。
したがって、この数字だけから、委託業務も含めた学校現場の総人数や業務の委託範囲まで読み取ることはできません。人数を評価する前に、集計から外れる人がいるかを確認する必要があります。
「職員」という表示を見たときの確認順
- 何の調査・文書かを確認する。今回の基準は、令和8年度学校基本調査の小学校・中学校です。
- 教員数と職員数が別の区分かを見る。教員数は「教員として発令されている者」が基準になります。
- 本務者のみかを確認する。「職員数(本務者のみ)」なら、兼務者まで含めた総人数として読むことはできません。
- 学校の直接雇用か、委託契約企業からの派遣かを確認する。後者は、この学校調査の職員数に回答しない扱いがあります。
「職員」という一語を見て、校内で働く全員の人数だと受け取ると、発令・所属・本務・委託という条件を落としてしまいます。学校基本調査を読むときは、「何人いるか」より先に、「誰を、どの区分で、どの年度に数えたか」を確認する。この順番が、数字の意味を取り違えないための手がかりになります。