「職員」は誰を指す? 統計の数字を読む前に確認したい範囲の違い
「職員数」という数字を見るときは、人数より先に、誰をどの範囲で数えているのかを確認することが大切です。
「職員数○人」という数字を見ると、そこで働いている人をそのまま数えたものだと思いがちです。けれども、e-Statの定義を並べてみると、「職員」は単なる呼び名ではなく、誰をどの範囲で数えるかを決める言葉だと分かります。
大切なのは、「職員」の意味を一つに決めつけることではありません。数字の境界を先に読むことです。
「職員」は所属と給与の支給元から数える
e-Statの「職員数」では、事業所に所属し、給与の支給を受けている職員を対象にしています。事務職か現業職かは問わず、学校や病院など、公務以外の業務を行う事業所の職員も含む定義です。e-Stat「職員数」の定義
ここから見えてくるのは、職員数が「その場所で働いているように見える人数」ではなく、所属と給与の支給関係を軸にした数だということです。複数の場所に関わる人がいる場合、勤務場所だけを見て人数を足すと、集計の範囲を取り違える可能性があります。
本務先と兼務先は、同じ「職員」でも分けて数える
e-Statの「兼務職員数」は、調査対象の事業所とは別の事業所に本務があり、調査対象の事業所も兼務している職員を指します。e-Stat「兼務職員数」の定義
つまり、兼務している人がいるときに確認すべきなのは、「その人がいるか」だけではありません。本務がどこにあるのか、見ている数字が本務の職員を数えるものなのか、兼務職員を数えるものなのかを分けて考える必要があります。
この区別がある以上、異なる事業所や組織の数字を単純に合算する前に、集計項目の範囲がそろっているかを確認するのが先です。人数の大小より、何を一単位として数えた数字なのかが重要になります。
学校では「職員」と「教員」が別の区分になる
学校関係の給与統計では、「教員」と「職員」が別に定義されています。「職員」には、事務系、技術・技能系、医療系、教務系の職員のほか、守衛、巡視、用務員、調理師などが含まれます。e-Stat「教職員給与額」の定義
この例から分かるのは、学校で使われる「職員」が、教育に関わる人全体を指すとは限らないことです。同じ「学校の職員」という言い方でも、教員を含む一般的な呼び方なのか、給与統計上の「教員以外の職員」なのかで、対象範囲が変わります。
「職員」という言葉を見たら、三つの境界を確認する
「職員」という表記に出会ったときは、次の順番で読むと、数字や説明の意味を取り違えにくくなります。
- 所属:どの事業所に所属する人を数えているか
- 本務・兼務:本務先の職員と、別の事業所から兼務する職員を分けているか
- 職種:教員、事務、技術、医療、施設管理などを含む範囲か
「職員」は、人の立場を一言で固定する語というより、組織が人を数えるときの切り分け方を示す語です。だから「職員とは誰か」と考えるときは、言葉の一般的な印象より先に、「どの統計・項目で使われている職員か」を確認する。その一手間が、数字の比較や説明を正しく読むための出発点になります。